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たばこ喫煙と社会的性差別 [コメントor短評]

 たばこ税の増税が検討されはじめて、あちこちからさまざまな意見が飛び交っているようである。

 たばこを吸う連中から見れば、理不尽、と感じられる向きも少なからずいるようである。

 けれども、何の咎もなく、これまで受動喫煙を強いられてきた非喫煙者の感じていた理不尽さの、その遙かな時間に比べれば、受動喫煙者に対して「申し訳ない」のひと言くらいはまずあってしかるべきである。

 諸外国の喫煙統計を一覧して感じたことだが、先進諸国のなかで、ダントツなのは日本である。
 といって、喫煙者の割合がダントツだと言っているのではない。確かに日本の喫煙率は諸先進国と比べて飛び抜けているが、それよりもなによりも、男女の間にある喫煙率の差に目が向いてしまう。

 2004年(平成16年)の数値で見れば、こうである。

  国         男性     女性
 日本        43.3%    10.2%
 ドイツ        39.0%    31.0%
 フランス      38.6%    30.2%
 オランダ      37.0%    29.0%
 イタリア      32.4%    17.3%
 イギリス      27.0%    26.0%
 カナダ       27.0%    23.0%
 アメリカ合衆国  25.7%    21.5%
 オーストラリア  21.1%    18.0%
 スウェーデン   19.0%    19.0%

 こうやって見比べてみると、一目瞭然である。

 日本では男性の喫煙率が女性のそれの4.3倍である。
 ところがスウェーデンでは男女が同一の喫煙率になっており、しかもかなりの低水準である。喫煙者が国民の1/5未満であることは、うらやましいかぎりであるが、喫煙の害がこれだけ言われ、厳しい批判に晒されるなかで、なおも頑固に喫煙を続けrているその19%のスウェーデン人に、皮肉をたっぷりこめて「敬意を表したい」ものである。

 イギリスの喫煙率も、男女差わずか1%。

 この2カ国の事例を見ただけでも、そこに明確な意味のあることが認められる。

 つまり、男女の社会的性差別の小ささがそのまま表れている、ということである。

 ヨーロッパではイタリアの男女の差が目立っている。男性の喫煙率が女性の倍近いということは、それだけイタリアの男女間の社会的性差別が大きく、強いと言うことを含意しているとみてよい。

 あるいは、スウェーデンやイギリスの女性の社会進出ないし社会的な影響力が男性並みに顕著であることが言えるのだろう。

 それを考えると日本のそれは悲しいほどに男性上位である。
 女性の社会的地位がどれほど低いか、こんなところにまで現れている。

 もう一つの見方をすれば、この男女比の大きさが男性の権力の大きさとほぼ比例していると見ることも可能である。国会議員や官僚、会社の管理職の女性割合が10%にも満たない日本の社会現状を、この喫煙率の性差は雄弁に訴える。

 日本人の男性たちを見ていると、唯一威張れる相手は自分の奥さんだけであるという、悲しい事例が余りにも多いことに驚く。会社では顎で使われ、へいへいと平身低頭、威張られっぱなしの能なし男でも、家に帰れば、自分の女房にだけは「おい、おまえ」と亭主風を吹かす。

 そのいびつな亭主権力が、つまりこの喫煙率の性差にそのまま表れているのである。

 よくよく考えてみるとまことに不合理なことである。

 さんざん亭主権力をふりかざして、自分の妻の前でだけ我が儘放題にふるまって、挙句の果てにたばこ原因の「肺癌」や「脳溢血」でころりと先にお逝きになる。こんな身勝手はない。

 それでもなお、自分の女房に、「ぼくを愛して」とは、世の我が儘亭主には言えないはずである。さっさと、たばこぐらいはおやめになって、愛する奥様の受動喫煙の被害くらいは緩和して差し上げないと、きっと極楽往生はできまい。
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